スティーブン・スピルバーグはやはりすごい。
この百何十年も前の出来事を、
まるで自分の目で見てきたかのような見事な描写。
かつてアメリカ人は、
アフリカ各地で住民を拉致・誘拐して売買していた。
黒い肌を持ち、
衣服をあまり身に着けない人間は知能も劣ると考えられていた。
人権などありもしない。
粗悪な船で、
何段もの棚ベッドにぎゅうぎゅうに押し込められた黒人達。
起き上がることも立ち上がることもできない船内で、
食事は伸ばした手の平に乗せられたミール状のものだけ、
排泄はその場で垂れ流し、
船酔いによる吐瀉物が上の棚から降ってくる。
航行に日数がかかり、
食料不足となると、
女や病人は一列に鎖でつながれ、
錘とともに海に捨てられた。
そこにあるのはかつての事実。
この人身売買の実態について、
黒人の人権を始めて世に訴えた黒人による裁判がこの映画の本筋だ。
人種差別という概念が基本的に薄い日本人にとって、
この作品は世界的観念のひとつを学ぶにふさわしいと思う。
アメリカとアフリカの関係。
白人と黒人の関係。
日本人は関係ないというのではなく、
この地球上の同じ人間として、
知るべき歴史と学ぶべき社会問題があることをこの映画は教えてくれる。